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Gとの遭遇

Gとの遭遇

1年ぶりにGの姿を見たのは、昨夜のことであった。昨夜は5月初旬の陽気が夜まで続いているように暖かく、昇りかけた下弦の月明かりは古い台所には届かなかったが、闇に慣れた目は床にへばりついたまま動かずにいるGの姿を見逃さなかった。全身が総毛立ち、呼吸が早くなり、悲鳴にもならない「グエッ」というくぐもった声を上げ、女は一瞬固まった。Gは動かなかった。見られたとわかっているのかいないのか、闇に光る背板は益々黒く、益々大きく、女の見開いた目にその姿を写しているのであった。
女は、こんな時、男がいてくれたらいいのにと思った。男は2階のベッドにいて、階下の緊張に気づく由もなく安らかな寝息をたてていた。女は覚悟した。今、助けが来ることはない。人生というものは、稀な例外を除いて、祈っても懇願しても、多く助けは来ないのである。やるなら一発で仕留めねばならない、と女は考えた。取り逃がしたら長く幻影に怯えて生きることになると思った。目でキンチョールを探したが、キンチョールは、男が、Gで健康を害することはないが、キンチョールは体に悪いのだと撤去したのだということを思い出した。女は丸腰であるという心細さを思った。丸腰であることに気がつくと、危険が迫ることがなくても気持ちが先に怯えるのである。その時、思いもよらず、Gが先に動いた。床にへばりついているとは思えない機敏な動きであった。そこだけ早回しされたように、夜の闇を揺り動かし、Gから同心円に闇が波打って広がっていくような優雅な動きであった。動かなければ、女はまだしばらくGを凝視していたかもしれない。そうであれば、Gが生き延びる可能性はまだあったのかもしれない。Gが突然動いたために、女は突然我に返ったのである。Gの優雅な動きとは対照的に、女の動きは無粋であった。女は、息を詰め、熊をも潰さんばかりの力を込めて、Gを、踏み潰した。

ターシャ.テューダーの微妙な感想

ターシャ.テューダーの微妙な感想

わたしを民主文学に誘った方(故人)は、元小学校の先生だったのだが、子どもはみんなかわいい、と言い切るような人だった。彼が書いた小説には悪人が出て来ないので有名だった。人の評価についてはいろいろあろうが、わたしは彼について、結局、きれいごとしか言わない、本当のことを言わない人だと思ってた。その彼を慕って一緒に共産党の後援会をやっていた年配の女性が、ターシャ.テューダーの熱烈な信奉者だった。おかげでわたしは食わず嫌いに陥って、ターシャ.テューダーは苦手だと思い、長い間それ以上深く考えてこなかった。それが、今日御成座で「ターシャ.テューダー 静かな水の物語」が上映されていて、縁あって観て、結局なんだか苦手というのに変わりはないが、ターシャ.テューダーの何が苦手なのかが少しわかってきた。第一のそれは、彼女が守られた環境の中から出て来ないからだった。しかし映画を見てよかったなと思ったのは、その守られた環境は、彼女が自身の才能で勝ち取ったものだとわかったので、そのことに関し敬意を持てたことだった。ターシャ.テューダーの死後、伝説の自宅と美しい庭を長男だけが相続したことで、兄弟が遺産を争って確執は裁判に及んだらしいのだが、普通なら世界的に本が売れ生き方が売れているのだから、自分が死んだらどうなるかくらい予想して備えておくのが普通なのだろうが、そんなことに気が廻るようならターシャ.テューダーじゃないし、長男も、世界的に有名な母親の家だの庭だのを自分だけが受け継ぐ、ことが何を意味するか、本当にわかっていないからこうなる、という解説記事が検索で出て、なんだかとても納得した。

大掃除

一昨年の暮れに純がダイソンの掃除機を買ったのだが、集塵力がありすぎて、築35年の家が相手ではあっという間に回るところにゴミが詰まる。詰まったゴミをゴミ袋にためている。たまったゴミを空けるたびゴミ袋をのぞいては、ぐへえ~~~、と声にならない声をあげ、ひたすらに掃除をし、ゴミ袋のぞいてはぐへえ~~~、のぞいてはぐへえ~~、とやっているうち、だんだんおもしろくなり、純に、その袋に他のゴミ入れないでくれと言う。

ハクガンを見てきた

ハクガンを見てきた

 寒いだろうなと予想していた。なのでわたしは純と共用の、通称「歩くシュラフ」と呼んでいるモンベルの丈の長いダウンジャケットを着込み、ダウンのオーバーズボンを装着し冬山用の帽子を装着しマフラーを巻いた。しかしそれでも寒かったので、普通に初冬の恰好をしてきた人たちは本当に寒かっただろう。しかも煽られてよろめいてしまうほど風が強かった。津軽平野は風を遮るものがないので、風は我が物顔にいよいよ強く吹き抜けていくのである。
 野鳥の会の人が解説してくれるから行かないかとずいぶん前から純に誘われて、トリこを見てそれほど楽しいんだがね?と半信半疑で行った野鳥観察会であったのだが、とても楽しかった。
 津軽平野のどまんなかにある鶴田町には大きなため池があり、冬枯れの田んぼが広がって渡り鳥の中継地になっている。今日だけで、マガン、ハクガン、ハクチョウ、シロサギ、ダイサギ、ノスリ、マガモ、が見られた(もっとあったかも)。中でもハクガンは美しかった。だいたいわたしは、白いガンなんていたっけか?というレベルであったため、双眼鏡で確認した瞬間思わず「わあ!きれい!!」と声に出てしまった。ハクガンは体が白く羽の先だけが黒く本当に美しい。ハクガンは、鶴田からは1泊くらいで去ってしまい、秋田の八郎潟で越冬するのだそうである。そして春に北に去る時には、数万羽もの大群がまたこの地を経由していくということなのである。
 ガンの群れは田に残る落穂や草を食べるのに忙しくしていたが、観察会に参加した中のひとりがカメラを構えて車から降りて群れの方に歩きだしたら一斉に飛び立ってしまった。野鳥の会の人が、ガンは群れの中の一羽が飛ぶと飛んでしまう、大きな群れになると神経質なのが必ずいるからそいつが飛ぶと飛んでしまう、ハクチョウと一緒の時だとか群れが小さい時だとかは案外近くに行ける場合もあるんだけれども、と教えてくれた。カメラのレンズに反射する光のために飛び立ってしまうということもあるそうだ。わたしはハクガンの美しい編隊にすっかり魅了されてしまい、ずっと双眼鏡を握っていた。ガンやカモのオスは今の時期に伴侶を探すため、人生(鳥生)上最も美しくなっているのだそうだ。そして一度決めた伴侶とは生涯連れ添い、共に生きるのだそうだ。

「読みもの」

「読みもの」

 アベ首相が答弁書を読み間違えたとかルビがふってあるとかいう話が巷で周知されているが、青森県議会にはもっとすごい話がある。それは、自民党の県議が県庁の職員に答弁書を書いてもらうというやつで、それを業界用語で「読みもの」という。弘前市民オンブズパーソンが、「農林水産部林政課による「成田議員との打ち合わせ内容」(平成30年11月14日)と題する書面中、議員から「読み物が短いので膨らませてほしい」という要請があり、これに対して林政課担当者が「了解した」との記載があるが、このやりとりに関わって林政課において入手、作成した文書」を、開示請求したところ、「一般質問 成田議員 読みもの」と題された文書が開示され、そこに書かれていた文言が、議会終了後公開された議事録とぴったり一致した、ということでは、理事者が職員に答弁書を書いてもらう段階を超え、議員が職員に質問を書いてもらっているのである。もはや癒着もいいとこではないか、ということでは、いったいどれくらいの議員が一般質問においてこの「読みもの」をもらっているのだろう、ということが、当然のことながらとっても気になるところなのである。
 因みに、質問の要点を書いたものを「カワ」という。なぜ「カワ」がわかったのかというと、県政を考える会が、6月議会で準備した「読みもの」について開示請求したことに対し、担当部局が「カワもですか?」と聞いたことから、「カワ」ってなんですか?という話となり判明したということである。
 因みに、「カワ」は、担当課が答弁を用意する都合上打ち合わせをするから野党議員ももらうから、野党議員も知っているが、「読みもの」なるものの存在は、先日青森県政を考える会が、6月議会の賛否のことで共産党に質問に行った際話題としたところ、共産党の安藤県議は知らなかったということだった。普通、知らんでしょう、たぶん。いくら与党が癒着しているとはいえ、到底そこまでだとは思わないので。
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takenami kyoko

Author:takenami kyoko
北海道に18年、青森県に34年住みました。北国の暮らしの中であったことや考えたことを写真とともに書いていきます。

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